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対人援助のお勉強ブログ 2010年12月・2011年01月~04月

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2011年04月20日 (水)

予告
 もうすぐ「植田寿之ホームページ」を立ち上げて丸1年になります。たくさんの人に見ていただくことができました。ありがとうございました。

 この1年間、お勉強ブログでシリーズとして書き綴ってきたことを『対人援助職の燃え尽きを防ぐ ~個人・組織の専門性を高めるために』として、創元社から出版することができました。

 今、新たに出版をめざして整理しているところです。第2弾、『(仮称)対人援助職の燃え尽きを防ぐⅡ ~仲間で支え高め合うために』。まだ仮称ですので、実際にこの書名で出版するかどうかはわかりません。

 今度は、「職場集団の人間関係から生じるストレスが大きいのであれば、職場の人間関係をよくすればいいじゃないか」「職場の人間が一丸となって同じ方向を見て、仲間意識をもとう」「そして、仲間集団としてお互いに支え合い、高め合い、燃え尽きを防ごう」といった趣旨のものです。

 出版はまだまだ先のことですが、みなさんのご意見も聞きたいですので、5月から、このお勉強ブログでシリーズものとして書いていきたいと思います。

 また、全国社会福祉協議会から出版されている『ふれあいケア』という月刊誌をご存じでしょうか?5月号(4月20日発行)から1年間、連載させていただくことになりました。コーナーのタイトルは、「職場のあなたの物語 ~職場の人間関係で疲れていませんか?」。毎月、介護職場で起こる人間関係のトラブル事例を掲載し、どのように解決していくのかを示していきます。いろいろな立場の人のヒントになるように工夫したいと思っています。なお、トラブル事例は、『奈都子の夢』に登場する人物を登場させています。

 現在、『奈都子の夢』は連載を休憩していますが、まもなく再開いたします。『ふれあいケア』の新連載、そして、『奈都子の夢』もよろしくお願いします。



2011年04月12日(火)

何もできないところからスタート
 次のような質問が届いています。

Q、話を聴く技術として、マイナスをプラスに変換する、それはストレングス(強さ)を見いだすことになるということを教わりました。でも、どうしてもプラスに変換できない場合があります。例えば、87歳女性の利用者さんの娘さんが亡くなったのです。娘に先立たれた悲しみが大きすぎて、プラスに変換しようと思っても、全く聴いてもらえません。要支援ですが、今までは、ほぼ自分のことは自分でされていました。でも気力をなくしてしまったようです。何もしないで家に閉じこもっておられます。このままでは、餓死するのではないかと思うぐらいです。こういった場合、どのようにすればいいのでしょうか?

A、その利用者さんは、あまりにも悲しみが大きいのですね。今は力をなくされている状態です。このような利用者さんには、「やれ介護予防だ」「やれ筋トレだ」といくら介護予防プランを立てても何の役にも立ちません。
 援助者として何ができるのか・・・・・今は悲しみに寄りそうことしかできないかもしれません。他に何もできないかもしれません。その利用者さんが、悲しみを心置きなく表現し、自分で自分の気持ちを整理し、自分で力を取りもどす。それに寄り添うことしかできないかもしれないのです。「この援助者に対しては、どんなに悲しみをぶつけても嫌な顔をしない」「この人は私を否定しない」「この人には矛盾することを言っても呆れない、怒らない」・・・・・そうした安心感のもと、自分の気持ちを表現されることに寄り添うのです。そうすると、あなたの前では、その利用者さんは居場所や存在意義を見いだすことができるようになります。そして少しずつ力を取りもどされていくのです。
 何もできないところからスタートする援助。それが対人援助の基本のような気がします。



2011年04月03日(日)

話の止め方がわかりません
 次のような質問が届いています。

Q、普段あまりお話しする機会がない利用者さんなのですが、時間があるときになるべく話を聴きたいと思っています。ところが、その利用者さんも日頃のストレスのせいか話が止まらず、あっという間に1時間。他の仕事が山ほど残ります。どうやってうまく話を止めればいいのでしょうか?

A、その利用者さんはいっぱい話したいのですね。あなたが聴いてくれる人だから、余計に話したくなるのでしょう。あなたが信頼されている証かもしれません。でも、あなたにしてみたら他にも仕事があるから焦るでしょうね。
 このような場合のコツは、積極的に聴くことなのです。ただ、うなずいたり相づちを打って聴いているだけでは、いつまで経っても相手の話は終わりません。積極的に聴くとは、いろいろな技法を駆使して、例えば、相手の話を言い換えて返してみたり、要約して返してみたり、相手の話を深めるための質問をしたりします。
 こんな感じです。
あなた:「さっきおっしゃった○○というのは、△△ということになるのですか?」
利用者:「そうじゃなくて、××ということなんです。それで・・・・・・・・・(また長い話)」
あなた:「なるほど、つまり、××と言うことなんですね。じゃあ、そのときどのような気持ちだったんですか?」
利用者:「そのとき、とても○○な気持ちでね・・・・・・(また長い話)」
あなた:「とても○○な気持ちだったんですね。すごく状況がわかってきました。さっきからの話を整理すると、○○ということがあって、△△な状況が長く続いたから、××だったんですね。じゃあ、明日また△△な状況のことをもう少し詳しく聴かせていただきますね」

 技法を駆使して積極的に聴くことによって、会話の流れを作ることができます。的を射た質問をすることによって、相手はとても納得されますし、自分の気持ちを整理することもできるようになります。
 技法をすぐに身につけるということはできませんが、練習すると必ず身につきますので、技法の本を読んで、日々練習してみてください。



2011年03月28日(月)

振り返りノート
 次のような質問が届いています。

Q、後輩や部下たちのスーパービジョンをしようと頑張っているのですが、変則勤務ということもありますし、みんな忙しくて、なかなか時間を確保できません。同じような状況の方は多いと思うのですが、どのような工夫をされているのでしょうか?

A、ボクの研修では、よくスーパービジョンの実践報告を聞くのですが、次のような工夫をされている方が結構おられます。
 「振り返りノート」というものを1冊作り、そこに仕事の空き時間や仕事が終わってから、1日の仕事で感じたことや気づいたこと、また困ったことなどを書き込んでいくのです。そこに職員がお互いにコメントし合う、またスーパーバイザーの立場の人が、週に1回ぐらい1週間を振り返ってコメントする。といった方法です。
 軌道に乗ると、みなさん書くことが楽しくなるのか、結構書いておられるようです。1年間で7冊になったという方もおられました。
 もし、これをやってみるということであれば、最初に基本的なルールを決めておいた方がいいでしょうね。例えば、「誹謗中傷は書かない」。「このノートは持ち出さない」。「書かれている内容については他言しない」などです。一度試してみてはいかがでしょうか?



2011年03月23日(水)

かなりザワザワが落ち着きました
 数日前、16年前の阪神淡路大震災の被災地に研修講師として行ってきました。受講者たちの話を聴いていると、皆さん、元気に明るく仕事をされていました。利用者さんの様子を聞くと、16年前を思い出し、つらい思いをされている方もおられるようですが、ほとんどの方は、不穏になることもなく客観的に報道を見ることができているようです。

 震災以降は、車を運転するときにラジオを聞くようにしています。関西の番組も、パソコン等を活用すれば、全国で聞くことができるようにエリア制限が解除されています。関西の番組では、こぞって16年前に体験したときに得た知恵を東日本の方々に届けようとされています。

 今日は、春の選抜高校野球の開会式でした。大会委員長、高野連会長、そして選手宣誓をした創志学園野山主将、みな震災のことに触れておられました。「仲間で頑張ろう」、「生かされている命に感謝」、「元気に全力で戦う」・・・・いろいろな言葉を聞くことができました。

 皮肉なことかもしれませんが、とてつもない大きな悲惨な出来事に直面したとき、みんな一丸となることができるのかもしれません。戦後の焼け野原を復興させたように・・・・平和ボケしていた日本人は、何かを思い出したのかもしれません。

 ボクも、何かを思い出したような気がします。ボク自身は体験していないのに・・・・



2011年03月14日(月)

全力で被災者支援を
 連日の報道を見ていますと、気持ちがザワザワとして仕方がありません。自分には何ができるのか・・・・何かをしたいのですが、何ができるのか・・・・・

 ボランティアもしたいですが、50歳になった今、被災地に出かけていって、自分自身で食料や寝場所を確保し、自分自身で体調管理をする自信もありません。体調を崩しても奈良にはすぐに帰れませんしね・・・・・

 とりあえずは、義援金、もしくは、被災地支援に行かれる方々の活動支援金の募金。残念ながら今の僕にはそれしかできない。そう思いました。

 さっそく明日にでも、社会福祉士会に活動支援金の募金をしたいと思います。その後は、義援金。

 皆さんも・・・・・もしお金があるなら募金を、少し先の話になりますが、時間と体力があるならボランティアを、お金も時間もなければ「理解」をしましょう!



2011年03月08日(火)

自分から話される
 次のような質問が届いています。

Q、初対面で、その利用者さんとは信頼関係がまだ築けていません。そのような状況で、いつも「どこまで踏み込んで話を聴いたらよいか」、あるいは「こんなことを聴いたら失礼ではないか」などと聴くことに躊躇してしまいます。この気持ちをどう処理すればよいのでしょうか?

A、初対面で、信頼関係が築けていないのは当たり前ですよね。不安になるのは仕方ないと思いますよ。不安なまま面接をしなければいけない。宿命かもしれません。
 一つ提案です。あなた自身の不安な気持ちを和らげるためにも、積極的に相手の話を聴いてみてください。、相手の話を繰り返したり、言い換えてみたり、要約してみたり、相手の気持ちを想像して伝え返してみたり、相手の話を深める質問をしてみたり・・・・いろいろと技法を使って積極的に聴くのです。
 そうすると、相手は、「あなたは私の話を聴いてくれる人」と安心されます。実際あなたは話を聴こうとしているのですから・・・・それが信頼関係のスタートになります。相手は、安心されると、どんどん自分のことを話されます。相手がどんどん話されると、「どこまで踏み込んで話を聴いたらよいか」とか、「こんなことを聴いたら失礼ではないか」といった心配はなくなります。相手は、話したいことを話されますので、それを聴いたらいいのです。 



2011年02月28日(月)

答えを出すのはあなたではありません
 次のような質問が届いています。

Q、援助者として、相談者のためによい案を提供してあげたいと言葉にしたのですが、うまく伝えられませんでした。相手の気持ちになって最適な答えを出すにはどのようにすればよいのでしょうか?

A、最適な答えを出してあげたいと、一生懸命考えられたのでしょうね・・・・。そんなとき、よい答えを言うことができないと、本当に落ち込みます。僕はよくあります。あなたも落ち込んでしまいましたか・・・・?
 僕は、そうやって落ち込むたびに思い出すのです。答えは、相手が導き出すものであると言うこと・・・・・
 援助者は、相手が答えを導き出すことができるように、話を引き出すのですよね。相手がどんどん話されると、自ずと相手は気持ちを整理される。そして、自分で答えを出される。
 それを手伝うのが、対人援助職の専門性なんですよね。なかなか、うまくできませんが、反省を繰り返しながら頑張ってみませんか?頑張れなくなったら、またご連絡をください。



2011年02月14日(月)

なぜ話すことが苦手なのでしょうか?
 次のような質問が届いています。

Q、他人に話をすることがとても苦手という職員がいます。心を閉ざしてしまっているようにも見えます。気になって仕方がないのですが、どのように声をかけていいのかわかりません。どうすればいいのでしょうか?

A、その職員さんは、なぜ他人に話をするのが苦手なのでしょうね?対人援助職に就いたということは、そもそも人とかかわることに関心があったと思うのですが、何か引っかかりがあるのでしょうね・・・
 ボク自身の経験ですが、小・中・高校と、人前で話すことがとても苦手でした。今、コミュニケーションや面接技術、また対人援助職を育てることを研究していて、わかったことがあります。ボクは、当時、常に、「うまく話さないといけない」、「こんなことを言ったら笑われるんじゃないか」、「馬鹿にされるんじゃないか」、「怒られるんじゃないか」などという気持ちがあったように思います。
 その職員さんは、人に話すことで、過去に何かがあったのかもしれません。それが引っかかっているのかもしれません。その職員さんが、あなたに対して、「この人にならうまく話さなくても大丈夫」、「この人は私のことを絶対に笑わない」、「私のことを馬鹿にしない」、「私のことを怒らない」といった安心感を与えてあげましょう。
 そのためにどのように声をかければいいか・・・ウルトラCはありませんが、日頃からその職員さんに、例えば「今日の仕事はどうだった?」など気軽に声をかけてみてください。返ってきた言葉を否定してはいけません。「○○な気持ちやったんやね・・・」などと受け止め、「もうちょっと詳しく教えて!」などと深く気持ちを聴いてみてください。徐々に話してくれるようになると思います。そして、あなたへの安心感が芽生えてきたら、少なくともあなたに対して話す抵抗は少なくなると思います。



2011年02月06日(日)

「話す」のではなく「聴く」
 次のような質問が届いています。

Q,先生の研修で相談面接のロールプレイをしました。先に講義をした技術を意識してロールプレイをする練習をするように、先生はおっしゃいましたが、意識するとできません。意識しない方がスムースに話せるような気がしました。技術を練習すると話せるようになるのでしょうか?

A、根本的な勘違いをされているように思います。相談面接では、「話す」のではありません。「聴く」のです。開かれた質問、言い換え、繰り返し、感情の反映、要約、解釈、自己開示・・・・など、たくさんの技法(技術)がありますが、これは「聴く」技術なのです。「聴く」とは、ただ単に「ふんふん」と消極的に聴くことではありませんし、また、あなたが話すことでもありません。消極的に聴いていると、いつまで経っても相手の話は終わりません。また、あなたが自分のことや自分の考えをを延々と話すと、相手は、嫌な感情を抱いてしまいます。技術を使って、相手の話を積極的に聴くのです。
 もちろん、質問をするとき、言い換えをするとき、相手の話を繰り返すとき、相手の感情を反映するとき、要約するとき、自己開示するとき・・・あなたは話します。でもそれはあくまでも「聴く」技術であって、「話す」技術ではないのです。



2011年01月27日(木)

人生経験と自己覚知
 次のような質問が届いています。

Q、対人援助を実践するにあたって、専門技術は大切だと思いますが、援助者のいろいろな人生経験も大切なのではないでしょうか?

A、対人援助は人の人生に寄り添い、人とかかわる仕事ですので、援助者が人生経験を積むことは大切だと思います。
 ただ、「いろいろな人生経験」とはどのようなことを指すのでしょうか?漠然としていてよくわかりません。人は皆、30年生きてきたら30年分の人生経験、50年生きてきたら50年分の人生経験を積みますよね。「いろいろな人生経験」とは、成功したり失敗したり紆余曲折を経ることなのでしょうか?
 いずれにしても人は皆、成功したり失敗したりしながら、いろいろな人生経験を積んでいるように思います。その中で、性格や価値観、ものの見方が培われていきます。
 だからこそ、対人援助職には自己覚知が必要になるのです。自己覚知とは、自分自身の性格や価値観、ものの見方の傾向を知り、自分自身をコントロールしながら相手とかかわること。自己覚知をしないままに相手とかかわると、自分の性格や価値観、ものの見方にしたがった相手の捉え方をしてしまい、相手の側から相手を理解することができなくなります。
 そう考えると、いろいろな人生経験を積み、幅のある人間性を身につけることは大切かもしれませんが、自己覚知とともに、人生経験の大切さを考えたいものです。 



2011年01月17日(月)

日々のコミュニケーション
 次のような質問が届いています。

Q、職員からの相談を受けることがあるのですが、相談に来たときには、すでに退職を決めていることが多く、なかなか引き留めることが困難です。このような場合、どうすればよいのでしょうか?

A、すでに退職を決めて相談に来られるのはつらいですね。でも、その職員さんは、今まで相談できず、悩んだ末やっとの思いで「退職」を告げに来られたのでしょう。
 あなたとしては、何とか退職を防ぎたい。「もっと早くに相談に来ればよかったのに・・・」と思うのかもしれません。
 一つの提案ですが、日頃から職員さんの考えていること、思っていることを聴いてみませんか?これは以前にも書いたかもしれませんが、例えば、職員さんと一日の振り返りをするのです。何かあったとかなかったとか関係なしに、「今日はどうだった?」と声をかけてみるのです。ほんの2~3分で構いませんので、話してみるのです。特に、「この頃しんどそうだなあ」と感じる職員さんには毎日声をかけてみるのです。
 そうすると、そのうち何かが見つかるかもしれません。しんどい気持ちが出てくれば、違う日にゆっくり話を聴く約束をします。
 そうしたコミュニケーションが日常化すれば、職員さんのSOSが見えてきます。それを見逃さないように気をつけて、「しんどい状況」を一緒に解決してあげましょう。



2011年01月07日(金)

意識するとぎくしゃくする
 次のような質問が届いています。

Q、「面接技法」について、先生の研修を受けました。「日頃から技法を意識して練習するように」と先生はおっしゃってましたので、意識をして練習しています。ですが、意識しすぎるのか、返答するときの言葉をすごく選んでしまいます。そのために、返答がおかしくなったりしているように思うのですが、これでいいのでしょうか?不安になって自信がもてないでいます。

A、それでいいのですよ。意識するということは、返答がぎくしゃくするということです。逆に言えば、返答がぎくしゃくしていると感じるということは、ちゃんと意識できているということです。最初はそうなります。数ヶ月もすれば、かなり上達するのではないかと思います。このまま練習を続けてください。
 また、ときどき面接技法の本やボクの『対人援助職の燃え尽きを防ぐ』などを読み返してください。読み返しながら日頃の練習を振り返ると、何かに気づくと思います。その気づきが、翌日からの練習に活きてくると思います。



2011年01月03日(月)

今年の抱負
 新年あけましておめでとうございます。

 昨年4月の末にホームページを立ち上げ、8ヶ月が経ちました。8月まで、一連のお勉強ブログをほぼ毎日欠かさず書いてきました。それに手を加えたものが『対人援助職の燃え尽きを防ぐ 個人・組織の専門性を高めるために』として創元社から出版いたしました。まだまだ十分、出版が浸透していないようですが、ボクが講師を務める研修や講演では、多くの方々が買ってくださいました。ありがとうございました。
 対人援助職は燃え尽きやすい。それは相手が人だから、また、違いのある人たちと一緒に仕事をしているからこそ生じやすいストレスによるものです。過度なストレス、そして燃え尽きを防ぐために、利用者さんや違いのある他のスタッフとの人間関係をよいものにする必要がある・・・・そのことを具体的な事例から示しました。いろいろなご意見をいただきました。ご質問もいただきました。それらを参考にしながら、今第2弾の執筆を考えています。
 第2弾は、仮称『対人援助職の燃え尽きを防ぐ② 仲間で支え高め合うために』とでもしておきたいと思います。対人援助は、たとえ専門職とはいえども一人で行うものではありません。チームや組織で行います。その組織やチームの人々とお互いに支え高め合うことができれば、どんなに気持ちよく仕事をすることができるでしょう。また、職場を離れたところでも、同じ仕事を行う人たちと支え高め合うことができれば、職場にもどり新たな気持ちで仕事に取り組めることでしょう。それは、おそらくほとんどの人が望んでいることだと思います。
 第2弾では、仲間で支え高め合ういくつかのモデルを提示していきたいと思います。その基盤として、スーパービジョン、コーチング、グループワーク、マネジメント、事例研究などの理論を散りばめ、日本人の文化にみられる「仲間意識」についての先行研究を参考にしたいと思っています。とはいうものの、前回と同様、難しい言葉はいっさい使わず、スーッと読めるものになればと思っています。

 第2弾の執筆を今年の抱負にしたいと思います。と、こんな風に書いてしまった以上、執筆せざるを得ない。自分で追い込んでしまいました。「できなかったらごめんなさい」ということになりますが、そうならないように、そろそろ準備を始めたいと思います。どうか、今年もよろしくお願いいたします。



2010年12月20日(月)

いつでもどこでも訓練できる専門技術
 次のような質問が届いています。

Q、対人援助職は日々の訓練が必要だとよく聞きます。話を聴く技術は、対人援助の基本的な技術だと思うのですが、どのように訓練すればよいのでしょうか?

A、話を聴く技術は、いつでもどこでも訓練できます。仕事のときはもちろんのこと、友だちと話しているときも、家族と話しているときもです。
 まず、聴く技術(面接技術、コミュニケーション技術などと表現されることが多いです)を整理した本を熟読してください。そして、その技術を意識しながら、人と会話をしてみるのです。例えば、「今相づちをしっかりやってるなあ」、「繰り返しの技法を使ってみよう」、「感情の反映ができた」などです。
 技法を意識すると最初はぎくしゃくした受け答えになると思います。でもそれでいいのです。訓練ですから・・・・
 そして、また、本を読みます。2度目以降は最初から最後まで読む必要はありません。技法を整理された部分だけでよいのです。読み直すと必ず新しい発見があります。以前も読んでいるはずなのに気づかなかったことが見つかります。また、自分の普段の訓練で間違っていたことにも気づきます。
 日頃の訓練と、本を読むことを繰り返します。そうすると、必ず、「ステップアップした」ことを実感できる時が来ると思います。



2010年12月13日(月)

「自己決定」の勘違い
 次のような質問が届いています。

Q、相手に話してもらって、そのプロセスの中で、その人なりの答えを導くということが「自己決定」だと思うのですが、その答えがとんでもない方向へ行ってしまったとき、それでも自己決定は自己決定、援助者はよしとするのでしょうか?

A、なぜ、とんでもない方向に行ってしまったのでしょうね・・・・話してもらったのはよかったと思いますが、もし、ただ話してもらい、「ふんふん」と聞いているだけだったとしたら、とんでもない方向へ行ってしまうこともあるように思います。
 ここで求められるのが、積極的に聴く技術なのです。何がポイントなのかを見極めて、ここぞというタイミングで切り込む質問をする。今は、この話題を深めることが大切だと見極めたなら、繰り返しの技法や言い換えの技法、感情の反映などの技術を駆使しながら積極的に相手の話を深める。
 つまり、聴く技術を駆使しながら、相手に寄り添うのです。自己決定とは、その人にとって最も適切な答えを自分で見つけることができるように寄り添うプロセスのこと。自分には何が適切なのかを全く判断できない状況の相手に、選択肢をいっぱい並べて、「さあどれにしますか・・・?」と選択を迫ることが自己決定ではありません。相手は、何が自分に適切なのかがわからないのです。納得して自分に適切なものを選び決めることができるように、寄り添う。そのときに求められるのが、積極的に聴く技術なのです。



2010年12月07日(火)

フィードバック
 次のような質問が届いています。

Q、職場で研修の報告をしました。私が今一つ理解していなかったのだと思いますが、他の職員にうまく伝わらなかったような気がします。ひょっとしたら間違って伝わったかもしれません。気にしなければいいのかもしれませんが、気になって仕方がありません。どうすればいいでしょうか?

A、気になって仕方がないということは、きっちり伝えたい気持ちが強いということですね。どうやらあなたはたいへん責任感が強い人のようです。

 ボク自身が研修や授業でよくやっている方法があります。少人数の研修や授業では、最後に感想や気づいたこと、また質問などを一人ずつ話していただきます。大人数の場合は、振り返り用紙を配って、やはり感想や気づいたこと、質問などを書いていただきます。
 そうすると、うまく伝わったかどうかを確認することができます。ボクの場合、毎回のように「あれっ???」と感じることがあります。ボクが意図したこととは違って伝わっているのです。また、完全に間違って伝わっていることもあります。また、最も伝えたかったことを誰もコメントしてくれないこともあります。
 このように、フィードバックをしてもらうと、何が伝わって何が伝わってないか、またうまく伝わったかを確認することができます。ボクは、このフィードバックによって、次の研修での言い回しを微妙に変えています。

 提案ですが、あなたもフィードバックをしてもらったらいかがでしょうか?うまく伝わってなかったところや間違って伝わったことは、何らかの形で補えばいいのです。会議で補足するとか、文書にして配るとか、いろいろと方法はあると思います。


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