⑤サブグループを適切に取り扱う
グループには、放っておいても必ずサブグループができます。サブグループとは、大きなグループの中にできる小さなグループのことです。どのような組織でも、役割分担をして業務を進めるために、「○○係」や「△△委員会」などのように、意図的にサブループを作ります。また、自然発生的なサブグループも必ずできます。たとえば、一緒に昼ご飯を食べるサブグループ、休憩時間には、喫煙所でたばこを吸うサブグループ、プライベートでよく飲みに行くサブグループ・・・・あなたの組織やチームにも必ずあるでしょう。
まず、サブグループが組織やチーム、ほかのサブグループに対してどのような影響を及ぼしているのかを見極めます。よい影響、たとえば、組織やチーム、ほかのサブグループをうまく引っ張っているということであれば、そのまま維持しておいても支障はありません。ところが、いくつかのサブグループがお互いに排除し合っている場合など、組織やチーム全体によくない影響を与えていることもあるのです。
そのような場合、プライベートはともかく、業務では、サブグループを意図的に作り替える必要があります。
⑥グループ内の葛藤を適切に取り扱う
人が複数集まると、必ず孤立するメンバーが現れます。話し合いの場には出席しているが、まったく意見を言おうとしない。一人だけ椅子を引いて、輪の中に入ろうとしない・・・・などです。「たまたまその日、体調が悪くて孤立しているようだったが、次からはまったく問題がなかった」ということであれば、何も対処しないでもいいかもしれませんが、孤立している様子が続くようであれば、対処をする必要があります。
まずは個別に、グループ、あるいは、ほかのメンバーに対して、何か引っかかりを感じていないかどうかを聴きます。そこで、その引っかかりが、もしグループ全体で話し合った方がよいと判断されれば、グループの話題として取り上げます。個人的な問題であれば、個別に対応を続けます。
また、グループには、必ず何らかの形でメンバー同士のトラブルが生じます。表だって生じなくても、水面下で火花が散っているということはよくあることです。これは「グループ内に生じる葛藤」だといえます。リーダーは、そうした葛藤があることを知ると、「どうしようか」と悩むものです。しかし、葛藤は、避けて通るものではありません。解決するものなのです。避けて通っていれば、いつまでも葛藤はなくなりません。グループのメンバーが、話し合いをすることによって解決することができれば、よりいっそう強いつながりをもつグループに成長していくのです。
⑦グループを活性化する
先ほど、集団を活性化するために、小集団活動や集団決定法を紹介しましたが、もう少し細かく。グループワークの専門技術を示すことにします。
まず、話し合いなどをするたびに、メンバーから、「今日の話し合いはどうだったか」と感想や気づいたことを言ってもらいます。集団決定法では、「意思表示」をすることが大切でしたが、さらに、感想や気づいたことを言ってもらうとよりいっそう効果的です。なぜならば、一人ひとりのメンバーにしてみれば、自分では気づかなかったことに、ほかのメンバーが気づいていることもあるのです。それを聞くと、「なるほど、そういうこともあるのか」と発想が広がるのです。
また、さきほど、規範やルールによる圧力を強めたり弱めたりして、うまく活用すると書きましたが、必要に応じて、規範やルールを柔軟に変えていくことも、グループを活性化することにつながるのです。
さらに、プログラムを工夫することも有効です。プログラムとは、グループで行われるあらゆる活動のことをさします。プログラムを工夫し、メンバーの関心を引き出す、あるいは、メンバーの関心のある活動を行います。初めてメンバーが集まったときに行う自己紹介一つとっても、そのやり方を工夫することで、メンバーの関心を大いに引き出すことができます。たとえば、これは、私がよくやる方法ですが、二人組を作り、お互いにインタビューし合って、お互いの情報を得ます。そして、ペアになった相手の人をほかのメンバー全員の前で紹介します。その際、インタビューをしてみてどのような印象をもったかも話してもらいます。この方法をずいぶん数多くやってきましたが、今までに、悪い印象を話した人は一人もいませんでした。
プログラムで使う小物や道具も工夫します。ホワイトボードを使ったり、模造紙を使ったり、ときには、低い音量で音楽を流したり・・・いろいろと工夫をし、グループを活性化していくのです。
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